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shinobu様ご推薦 まつざきあけみ

【まつざきあけみ】


『ぼくらは青年探偵団』まつざきあけみ(パロル舎/南原企画)
70年代に少女フレンド等の雑誌で「リセアン」「リュシエンヌの森」など耽美な画風と物語で人気を博した作者が、
研ぎ澄まされた画力はそのままに、80年代にみのり書房発行の耽美雑誌「ALLAN」に連載した作品。
明智ならぬどけち・こるねいゆ探偵と助手のカール(この二人は往年の名作「リセアン」のセルフパロディ)、
そしてどけち探偵とデキている美少年の小林君などで構成された青年探偵団が、
美少年を狙う怪人二十面相や、その他もろもろけったいな敵&犯人たちと戦ってゆく探偵冒険物語、というと聞こえがいいが
本作の醍醐味はそのハチャメチャなパロディ精神にある。登場する敵が福助だったり「赤ん坊少女タマミ」だったり、
天才料理少年の正体がエースコックのブタだったり、犯人(馬)のもくろみが「あたり前田のクラッカー」量産だったり、
というのは序の口で、全編に散りばめられた昭和日本に関するあらゆる記号、おちょくりが楽しくもあり、
あまりの過剰さにカオスティックでもある力技のレトロコメディー。
どんな場面においても一人だけ作者お得意の耽美な絵で描かれ、物語の流れとはあまり関係なく、
脱がされたりベッド・シーンを入れられたりする小林少年の存在そのものが「少女漫画的美少年」のパロディともいえる快(怪)作。
90年代にはは通販専門の雑誌「ラッキーホラーショー」にて描かれ、
オウム真理教事件をベースによりパワフルでアナーキーなストーリー展開&世界観を展開していたが、中断して久しい。


『ごきげん?アピ』まつざきあけみ(講談社コミックスなかよし)
今をときめく人気モデルのアピ、その正体は見事なブロンドの美少年。
マネージャーに利用されていることを知ったアピは、マンションを脱走、
逃げる彼を助けた青年ジャンジャックと心を通わせ、彼の“弟”として暮らしたいと望むようになるが……。
と書くとシリアスのように見えますが、もちろん、コメディーです。

アピが男の子という設定ながら、行動原理が完全に女の子なのはどうよ、と思うところもありますが、
いかにも少女漫画なジャンジャックとの恋模様(弟になるとかいう台詞もありますが、どう見ても恋愛感情)は、
制約の多い誌面でいかにして男×男を成立させるか、という苦肉の策のような気も。
逆にこういう「友情」だの「兄弟愛」だのという言い張りを見抜く(?)ことで、
腐女子の目は鍛えられたのかもしれません。



「リセアン」「二つのバイオリン」「リュシエンヌの森」まつざきあけみ(『リセアン』講談社コミックスなかよし収録)
尊敬する教授コルネイユの下で学びたいと、期待に胸をふくらませてリセ(高等中学校)に編入したバレリイ。
だが、受験勉強にあけくれるささくれた日々の中、彼の孤独を慰めたのは、素行不良で知られるカールだった。
発表された雑誌が雑誌だけに(「なかよし」)、一応“友情”という建前はとってあるものの、
バレリイとカールのやりとりはかなり熱烈。
「きみの心の中に、まだ人のはいるすきまがあったら、その心のすみでいいからいれてはくれない?」
「もう…!学校にかえりたくないよ、きみにこのままどこかへさらってもらいたい!」

という二人の感情の高まりが熱い表題作ほか、
バイオリニストをめざす二人の少年の恋に近い繋がりを描いた「二つのバイオリン」、
死んだ兄を一途に愛する少年をめぐるミステリアスな物語「リュシエンヌの森」などを収録した、初期の作品集。

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