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shinobu様ご推薦 西炯子

【西炯子】



「天使にならなきゃ」西炯子(小学館文庫『僕は鳥になりたい』収録)
ホテルに勤める晴海は、一文無しの身でフルコースをただ食いした少年・遵希(じゅんき)に、
迷惑をかけられた上につきまとわれ、部屋に押しかけられる。
っかいな事に遵希は自称“記憶喪失”で、ホテルで一緒に働きはじめたものの、失敗の連続だった。
しかし二人の奇妙な共同生活は続き、晴海は遵希の存在に安
らぎをおぼえていくのだが…。
「JUNE」誌上で連載されていた「竹宮惠子のお絵かき教室」の門弟代表者だった作者の“卒業”制作作品。
24ページの短編ながら、二人の出会いからのエピ
ソードと感情の変化が繊細に描かれている。
ちなみに文庫巻末のエッセイは竹宮
惠子。
作者との「真剣勝負の日々」を綴った文章は、当時を知る読者としては泣
けます。


『水が氷になるとき』西炯子(小学館文庫)
“嶽野義人シリーズ”として知られる作品群を収録。
収録作品は表題作のほか「ここへおいで」「一人で暮らす理由」「9月-September-」「もうひとつの海」「Teenage」。
全作を通して登場する嶽野義人は、長髪とメガネがトレードマーク。成績優秀で社交的で器用で人気者だが、
外観とうらはらに、彼の心に空いた空洞に惹かれるように、彼のそばには、同じような傷を抱える少年(青年)たちが現れ、
つかの間のつながりを得ては去っていく。
「恋愛は一つの季節だ/一人の人間の出現によって/突然はっきりと季節が/区切られてゆく」
(「もうひとつの海」)と作品中にあるが、いくつもの季節の訪れを受け入れながら、地に足をつけて一人で立っている嶽野。
決してゲイではないけれども(作中で彼は何人の女の子とも付き合う)、
自分に真摯な想いを寄せてくれる相手のことを、ごく自然に受け入れていく姿が魅力的で、
作者が生み出したキャラクターの中でも突出した印象を残す。
巻末エッセイによると作者は「もう少し年をとったら、もう一度、嶽野義人を描いてみたい」そうなので、
そのときに彼がどんなふうに変化しているか、再びの登場を楽しみにしたい。

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